憧れの海外バスキング、安易に行うと違法になることも?やめた方がいい理由を知っておこう!
こんにちは。
今回は久々にバスキングについての更新です。
バスキングについては、以下のURLにまとめてあります。
https://buskinglife.com/category/busking/
「バスキングって何だろう?」と思った方は、こちらの記事あたりからご覧いただければと思います。
今回は「海外旅行者のバスキング」に関連するお話しです。
このブログ本体のテーマは、主に異文化交流や旅行、バスキングの魅力についてを語っているので、基本的にはポジティブ面をフォーカスしていますが、今回は海外バスキングのネガティブ面、「危険な落とし穴」について語ります。
ちなみに、意見ごとに記事を分けず、このトピックにまとめてさせて頂いたので、記事のボリュームが結構あります。
目次などを用いながら、のんびりお付き合い頂けたらと思います!
知人の「海外バスキング旅行プラン」の落とし穴
先日、日本の知人より「海外でバスキングをしたい」と、相談を受けました。
同じような相談はよく受けるので珍しいことでもありません。もちろん、海外でバスキングしたいということにも問題ありません。
問題は、知人の「目的」です。
詳しく話しを聞くと「バスキングで稼ぎながらヨーロッパを旅行する」というプランがあり、そのための海外での路上演奏のアドバイスや旅行の段取り、場所などを相談したい、ということだったんです。
一見、カッコいいプランですけど、皆さんはどう思いますか?
実は大きな問題点がひとつあります。
海外旅行者が現地で稼ぐ目的のバスキングは「NO」
厳しく言うと、このプランは「アウト」です。
なぜアウトなのでしょうか?
それは、「稼ぐこと」が目的だからです。
ご存知の通り、滞在許可、就労許可のない外国人が、パスポート国以外で仕事をすることはイリーガル。
「違法行為」になります。
旅先のルールを守ることは旅人の鉄則です。というよりも、人間がその国で生活するための基本的なルール。それは母国だろうと海外だろうと同じ事です。
ましてや、観光目的(観光ビザ)の一時的なビジターならばなおのこと、旅行で訪れた国の法律、そのルールに日本にいる時以上に注視することは大事ですよね。
日本人が海外現地で滞在許可を得て暮らしていても同じであり、移民である限り、私たちは現地の方々から見れば外国人。慣れないマナーに戸惑った時、「やっぱり外国人だから」なんて言われたら嫌ですよね。
「日本ではこうだから!」「日本の税率はこうだから!」なんて言っても通用しません。そこは日本ではないのですから。
法を守るのは当然と分かっていても、海外の場合は日本にいる以上に意識して気を引き締めておかなければならないのです。
「国外でお金を稼ぐ行為」だけを切り取れば、イリーガルだとわかるはずの事ではあります。
ただ、その辺が若干ぼやけてしまうのがバスキングなのですよね。
旅をしながら稼ぐのはカッコイイ!だけど、ルールを守るのが前提
バスキングで旅をして暮らすって、とってもカッコいいですよね。
私自身、海外でのバスキング生活は長く、一時期はバスキングしかやってないというほどに没頭した時期もありました。だからこそ、バスキングで世界一周とかやってみたいなーとか思いますし、これから新たにバスキングをはじめようとする新鮮な姿を見ると、自分も一番最初のあの新鮮な気持ちを味わいたい!と思い、羨ましくなります。
経験者として、バスキングも楽な作業ではないと知ってますので、そこをベースにハードな生活しながらの旅行。きっと素晴らしい体験ができそうとワクワクしますし、旅をしながらバスキングをする事には、否定するどころか尊敬に価します。
「旅行の際に現地で演奏したい」ということには、大賛成です。やるべき!と声を大にします。
しかし、「バスキングで稼ぎながら旅行」となると。うーん。
確かに、その方が聞こえ方もカッコイイし、魅力的ではあるのですが・・・・
すでに、旅行者が「稼ぐこと」を目的として入国する時点で、アウトなんです。
現地の移民局から見れば「不法就労者」でしかありません。
「えっ?バスキング(路上ライブ)って、チップでしょう?チップもらうのは労働?」
すかさずそう思った方、さすがですね!
そうです。チップ、つまりバスキングで言うところの「投げ銭」は「心付け」ですから、本来は課税対象ではありません。
以前の記事にて、バスキングのチップについて書いていますので、参考までに。
上記リンクの記事では「バスキングのすすめ」の一環として書いてますので、多少はやんわりとしたニュアンスになっています。
しかし「稼ぐこと」を目的にしないでください、とも書かせて頂いてます。
大事なのは、ココなのです。
海外在住歴のある方や、旅行慣れしている方であれば、「許可なくお金もらったらダメなのは当然じゃん!」と、当然のように思うと思います。
しかし、単純にバスキングで得る小銭、イコール「チップ=心付け」というイメージのみが頭にある場合、それがどれだけ大量に稼ごうとも「チップ」という感覚や意識が変わらない事が多いのです。
「チップ」という言葉のみに意識を向けていると大変危険です。
チップの何がダメなの?
チップを頂くことが悪いわけではありません。
バスキングをしていると、その音楽への感謝としてチップ(コインなど)が、楽器ケースなどに投げ入れられる事があります。その行為自体(演奏していたらチップ貰っちゃった!)は、「心付け」で終わります。
問題は、その「チップを目的として」旅行者がバスキングを行うことにあります。
例えば、何か人助けをしたりお手伝いをしたり、あるいは取引先の馴染みのお客さんから「いつもお世話になっているから」と、御礼のお菓子を頂いたとします。または何かしらの現場でお小遣いやチップで5000円を頂いたとしましょう。
これは「心付け」ですよね。
しかし、不特定多数の人から、毎日5000円もらっていたとします。毎月3万円でも10万円でもいいです。
あるいは、3000円から5000円のチップを得ようと考えた上での行動を起こしたとします。
これらの場合は、例え名義がチップであったとしても、「心付け」ではありません。何かしら、対価として継続的に頂く理由や、双方の取り決めがあっての報酬と見られてもおかしくありません。
これは立派な所得になります。
それがバスキングによって得られたチップの場合、周囲には授受が明確にわからないかもしれませんし、本人すら「投げ銭」の明細を把握していないかもしれません。
でも、そのチップの量が心付けと取れるものか、意図的に生業として行っている事かくらいの判別は自分でもつくはずです。
自分自身で「日々稼いでいる」と認識できる場合は、海外に限らず、日本でもかなりのグレーゾーンですよね。
日本でバスキングを生業にし、尚且つ「これは全て投げ銭だ!課税対象ではない!」と思うならば、専門家に相談して適切なアドバイスをもらう方が安全です。
海外では、許可なく入国してその行為をしている・行う目的で入国している時点で「確実にアウト」です。
目指すのは「バックパッカー」なのか「バスカー」なのか。それとも「ベッグパッカー」なのか。
私の話しになりますが、バスキングを始めた当初、自身のことを結構発信していたんですよね。
しかし、それが鬱陶しいほど続いていたある日(笑)、身近な友人から「あまり路上演奏のことを、自分の生活として発信しすぎない方が良いんじゃないか」と助言?された事があります。
「気の毒に見える」という事でしたが・・(笑)
私は、ライセンスを所持して公式にバスキングをしていますので、もちろん違法行為ではありませんし、周囲もその事は知っています。
バスキングだけを中心に生活してた頃は、チップもそこそこの暮らしが出来る金額を稼ぐ事が出来ていました。国の景気が良かった時は贅沢もできたかな。ほんの一時ではありますが。
最初の頃は、結構愉快な暮らしだな〜としか思わなかったですし、バスキング生活自体が自慢できるものと思っていましたから、その意見に目から鱗。
課税、非課税の線引きや定められたルールを守った上でのバスキングをやってましたし、管理からチェックも色々され。そもそも私の管理団体は「音楽提供」という目的でピッチを解放していたので、国側もスケジュール管理などを徹底して正規のパフォーマーとしての演奏場所を我々に与えていました。私自身も「活動の一貫」という意識が強かったのです。
そんな環境でバスキングをやっていても「路上に立って得たチップで暮らす」という行為は、バスキングの事をよく知らない人から見れば、(表現が少し過激で申し訳ありませんが)物乞いとの線引きが分かり難いというのが現実であり、そう思う人の方が多いのです。
ちょっと話しがずれますが、私は「スポンサーとかいるんじゃないの?」「本当にバスキングで生活できているの?信じられない」なんて言われたこともあります。思わずムッ!としちゃいましたね、休みもなく交際時間も取らず、かなりの労働(バスキング)時間を費やしてましたから。
でも、実際に経験してない限り謎の世界なので、そう思うのも仕方がないかもしれませんね。
それらは「バスキング文化を知らない」という人から見た意見だけに限りません。
バスキングの文化を知っていた人から見ても、いかにも旅をしている風貌の外国人がバスキングをしていたり、バックパッカーが許可のない場所でチップ目的のパフォーマンスをしていると分かると「Begpacker(ベッグパッカー)」と皮肉を言われる事になります。
ベッグパッカーとは、生活苦で路上に佇む現地の人とはまた違い、旅費を稼ぐために路上でお金を得る行為を行う人たちの事を指し、国や地域によっては深刻な問題とされている場合もあります。
もしかしたら、それはバスキングではなくベッギングかも?
物乞いを一般的にBeggar(ベガー)と呼びますが、彼らが路上を行き交う人に向かって「Give me change(小銭ちょうだい)」と、物を乞う行為を「Begging(ベッギング)」と言います。
一旦考えてみましょう。
自分が目的とするのは、「Busking(バスキング)」なのか「Begging(ベッギング)」なのか。
誰もが後者を目標にして旅を計画するわけでは無いです。
しかし、その場所のルールを知り、それに従う行為か否かのバスキングによっては、後者とみられても決しておかしくは無いのです。
バスカーである以上、ルールを守って行おうと無断でバスキングをやろうとも、旅費のために行おうとも、知らない人から見ればそんな事情は関係なく、一色担に「チップを得るための行為」としか取らない人も中には居ます。それは仕方のない事です。
しかし、許可を得ていたり、ルールの上で行っている場合は、致命的なトラブルに発展する事はありません。
結論、バスキングで稼ぎながらの海外旅行はやめた方がいい
これまでも「イギリスでバスキングをしたい」と言う相談へのアドバイスはしてきました。
イギリスは「ライセンス制度」を設けている場所が多く、特にロンドンのバスカーの多くはライセンス所持者です。
それでも、ライセンスを持たずして「記念バスキング」をしたいと言う思いにも寄り添い、可能な場所ややり方のアドバイスをしてきたのは、やはり自分も昔は、情報収集したり誰かに訊ねたりしながらバスキングをスタートさせたからであり、1人でも多くの人に、いろんな場所でバスキングを経験してほしいとも思っているからです。
そして、その前提にあるのは目的が「あくまでバスキング」。演奏をしたいと言う行為が目的だからです。
相談を受けた場合でも、前述に書いたような必須事項を伝えた上で助言しましたので、皆が1回、2回程度、縄張りに差し障りのない場所で「度胸試し」と「記念撮影」のために行ったと言うものがほとんど。
目的は「稼ぐ事」ではありません。
しかし、「バスキングで稼ぎながら旅をしたい」「どうすれば海外で稼げるか」と言う相談に対しては「やらない方がいい」としか言えません。
「稼ぐことが目的」である以上、YESとは言えないのです。
このブログでは、「バスキングのチップの稼ぎ方」的な記事を多数書いていますが、それはバスキングを生業にしたい人(言い換えれば生業にできる環境の人)や更にガッツリやる場合へ向けての、私個人の体験からの参考として語らせて頂いており、「稼ぐために海外旅行すること」は推奨致しません。
仕事にする以上、それは観光ビジターでは厳しいところがほとんどであり、居住するその土地、各国・各都市のルールに従った上で行うことが大事です。
趣味範囲として黙認できる範疇なのか、許可を得てバスキングしている場合は、課税対象か、非課税か、もしくは旅行者でも参加できるものなのか。全てそのプレイス(場所)の管理団体によってルールが変わってきます。
毎日毎日バスキングを行い明日のパンを買って暮らしてきた者として、「うまく稼ぐにはこういう手もあるよ」というオススメ話しをしていますが、その先、稼いだ場合に関してや、その収入や処理に関しては、本人が自分の状況下でどうすべきか決めることです。この辺は少し冷たいかもですが、すみません。
知人も「へ?!バスキング勧めてたじゃん!」と、言ってたんですが・・・はい、(苦笑)おすすめはしますが、目的が悪いということなのです。
海外でバスキングをやって「稼ぐ」としても、それが公的にOKとされている場所や、ルールに従って(許可があるなど)行うのであれば問題ありません。
旅行者であれば、旅行者としてのバスキング姿勢というものがあります。旅人としてのルールが守れない場合は、現地に移住するか、居住地で、その国のルールに従ってバスキングを行うしかないのです。
明かにバスキングで旅費を稼ぎながら世界を周ろうとしている人に、やってみなよ!とは言えないかなあ。私は頷くことはできません。自己責任といえども止めます。
どうしてもと言うならば、ダンマリで勝手にやってくださいとしか言うしかありません。でも、やめたほうがいいと言う事は断言しておきます。
もし、現地でポリスに捕まったらどうしますか?
強制出国になったらどうしますか?
はい、さようなら~では済みません。
純粋にバスキングをやるか、ブランディングをとるか
稼ぎながら世界旅行をする方は結構多いんですよね。
純粋に、それ自体はめちゃめちゃかっこいいと思いますよ!憧れます。
それが出張であったり、母国に収入の母体があって取材で訪れているとか、エンターテインメントの分野でも現地での許可を取っているのであれば、それこそ、稼ぎながら世界を旅するなんて、理想的な形だと思います。
しかし「バスキングで稼ぎながら旅」は、ちとマズい。
百歩譲っても、「バスキングで稼いで旅行してます」とは、絶対に謳わない方が良いと、個人的には思います。
皆さんの中で、同じようなプランを考えている方がいるのでしたら、やめた方がいいのですが、絶対やめないのであれば、(私は一切責任持ちませんが)極論としては誰にも何も言わずこっそりやる他ないです。
SNS発信や、ブログ更新もするべきではないです。
念押しますが「発信せずに黙ってやれば良い」と言ってるわけではありません。
アドバイスとして返答するならば「NO」しか、答えはないのです。
不思議に思うのは「旅先で稼いでます」ということをインターネットで発信するという行為です。
なぜ発信するのか。
それはやはり「チップは心付けであり収入では無い」という意識が強いのかもしれません。
もしくは、旅行中に何らかの方法で現地で稼いでいく事が不法就労にあたるという事を知らないか。
あるいは、実際は収入を得ていない(儲けてない)、または実はキチンと許可を得ていながらも、あえてワイルドに表現しているのかもしれません。いわゆるヤラセ演出?この場合、トラブルに発展しない対策があるのであればOKでしょうか?わかりませんが。(笑)
ここ数年で日本人にとってもバスキングが身近になった事や、フリーダムなスタイルで仕事をしていく人が増えた事や、「旅をしながら稼ぐ」という情報発信が増えている事も、間違った認識を持つ理由のひとつではないかと思います。
しかし、その情報の美味しい部分だけを受け取るのではなく、深い部分を読み取る事や、情報をベースにして自身で調べ、想像することも大事です。
旅をしながら稼いでいると謳っている方は、本当に「現地で稼ぎを得て」いるのでしょうか。実は、ちゃんとルールを守った上でのことかもしれません。
たまたま旅先で作業をしていると言うだけかもしれません。就労の許可を得ているのかもしれません。日本で仕事に活かすために貯金を切り崩して滞在しながら学びの旅をしているだけなのかもしれません。
改めて、各国のルールを知らない上で行うことは「危険である」という意識を強く持つ事が大事です。
「路上でお金を稼いで世界を旅してます」と言うのは、聞こえはすごく格好いいですが、仮に違法となる状況下であった場合、それをインターネットで公言すると言うことは、不法就労者だと自ら発信していること。
「いくら稼ぎました」なんて、もってのほかですので注意が必要です。
「稼ぎながら旅」という言葉と行為の魅力
無一文でバスキングで幾ら稼ぎながら旅。この言葉にはやっぱり大きな魅力を占めていますので、発信はしたくなっちゃいます。
しかし、海外事情を知っている方から見れば、違法行為を発信しているんじゃないか?と、ヒヤヒヤする思いで見ている人も中にはいるかも?しれません。
どうしてもジプシー暮らしを海外でしたいならば、自らが貝になるしかありません。
でも、そこまでリスクを背負ってバスキングを世界各国でやる必要がありますか?
場合によっては違法となる可能性も高いのです。
「稼ぎながら旅」がブランディングの一貫の場合、インターネット上で発信し、共感や感動を得ることができないなら、バスキングに何の魅力もなくなるかもしれません。
でも、それって・・・(てんてんてん)ですよね。(汗)
バスキングをやりたい、世界各国で音楽を奏でたい!と純粋に強く思うだけなのであれば、何も現地で稼ぐなんてリスキーなことを考えず、旅費をしっかり貯めて旅行プランを立て、チップ目的では無く普通に海外の地で無償で演奏すればいいだけです。
「バスキングで稼ぎながら世界旅行してます」ではなく、「世界旅行のついでにバスキングやってみた」なら、まだ良いのじゃないかなって思うのです。
見知らぬ異国の土地で演奏したという事実。これだけで十分かっこいいと私は思います。
まとめ
稼ぐためのバスキングは、就労とみなされる場合があります。
意図的に稼いだチップは、課税対象になる可能性があります。
滞在許可、就労許可のない国でバスキングをして「稼ぐ」ことは、違法行為になり兼ねません。
やや曖昧な表現ですが、本当にその線引きはグレーであり、落とし穴でもあります。だからこそ、旅行者は旅行者として、もっと深く考えてから行うべきかと個人的には思ってます。
日本人が日本国内で行うバスキングでもその行為でボロ儲けしている方は一度専門家に相談しましょう!
これらを肝に命じた上で、バスキングするのがベストです。
私自身、世界のいろんな国でバスキングをやること自体は、とても冒険的であり、素晴らしいと考えています。それを実行している方は心からリスペクト致します。
あくまでルールを守った上で、自分自身にも周りにも安全かつ、クールなバスカーを目指したいですよね!
「じゃあ、旅行者はどうすりゃあええんじゃあ~!」と言う部分について、次回、少し触れてみたいと思います。
改めまして、今回は辛辣な意見を失礼いたしました。
ご一読ありがとうございます。